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 主催者「ガロン実行委員会」は、「日本画」をその制作のベースとするアーティストと、研究者による集まりです。(「ガロン」は市川裕司(美術家)、大浦雅臣(美術家)、金子朋樹(美術家)、小金沢智(日本近現代美術史)、佐藤裕一郎(美術家)、西川芳孝(美術家)で構成される作家グループです。)

作家5名は日本画を出自とし、小金沢智は日本美術史研究、美術評論を専門としています。私たちはこれまで、日本で培われてきた文化芸術の蓄積を現代の視点から捉え直し、新しい芸術を作り出すことをそれぞれの目標として活動を行ってきました。本展は、日本人の自然観を考える上で欠かせない、絵画が設置される空間=「建築」との関係性を日本画によって問うものです。

 

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ガロン第3回展「metamorphosis」メタモルフォーシス

ガロン/市川裕司、大浦雅臣、金子朋樹、小金沢智、佐藤裕一郎、西川芳孝

会期:2019年9月4日[水]—10月9日[水]9:00-17:00土日祝休(9/28、10/5は特別開館)

10月5日[土]14:00トークイベント

前期第1部MetamorphosisⅠ「時間」

9月4日[水]—9月20日[金]東北芸術工科大学本館7階ギャラリーTHE TOP全面

9月4日[水]—9月20日[金]東北芸術工科大学本館1階ギャラリーTHE WALL

後期第2部MetamorphosisⅡ「空間」

9月23日[月]—10月9日[水]東北芸術工科大学本館1Fエントランス南スペース

9月23日[月]—10月9日[水]東北芸術工科大学本館1階ギャラリーTHE WALL

主催:ガロン実行委員会 

協力:東北芸術工科大学/東北芸術工科大学美術科日本画コース 

 

東北芸術工科大学(山形県)には構内にいくつかの展示スペースがある。今回本展で使用するのは、本館7階のギャラリーTHE TOP、1階のギャラリーTHE WALL、同じく1階の南エントランススペースである。これらはいずれもサイズや作りをはじめとする仕様がまったく異なっていて、たとえば1階の南エントランススペースは展示壁面を持たない。したがって、展示する場合は展示台や仮設壁を用意する必要があり、どちらかというと、そもそも壁を必要としない立体やインスタレーション作品の展示に向いている。

「画論」をグループの由来とする日本画が出自のわれわれ〈ガロン〉は、この度、この三つのスペースで段階的な展示を試みる。つまり、前期として展示壁面のあるギャラリーTHE TOPとギャラリーTHE WALLでまず展示を行い、ギャラリーTHE TOP終了ののちは、後期として同所で展示した作品の一部を南エントランススペースに持ち込む。このとき、展示ではふたつの「変身」(メタモルフォーシス)が起こっている。すなわち、ギャラリーTHE TOPとギャラリーTHE WALLでは、主に2000年代前半から発表を継続している作家のキャリアのなかで異なる時期に描かれた複数作品を展示することによる作品内容の「変身」が、そして、ギャラリーTHE TOPと南エントランススペースでは、壁のある空間からない空間へと展示場所が変化したことによる作品形態の「変身」が。ギャラリーTHE TOPと南エントランススペースは壁面の有無という、絵画作品の展示にあたってはきわめて大きな違い(障害とも言える)があるので、7階で展示した作品はそのまま持ってきては本来的には展示ができない。しかし、われわれは作品は変えず、展示方法の変更を試みることで、作品形態の新たな展開・更新を実現したいと考えている。

近世以前の日本の絵画が建築に付随し(屏風、衝立、襖絵等)、近代以降の日本画が展覧会及び美術館という制度の確立によって額装され(ポータブルな存在となり)、特定の場所から離れていったことを考えると、これは退行のようにも見えるかもしれない。だが、われわれがここで実現しようとするのは、建築からの自立(前者)と、建築との接近(後者)の双方であり、このふたつの対極的な展示を通して、自らの絵画の形式を問い直すとともに、新しい作品の可能性について模索したいと考えている。「時間」(前期)と「空間」(後期)による変身がわれわれになにをもたらしたか、ふたつの会期を通し、その顛末を見届けていただきたい。

小金沢智(ガロンメンバー、日本近現代美術史)

 

展覧会概要

世界数百万種以上と言われる多様な昆虫の多くは“変態”と“擬態”という異なる2つの「変容」を通して姿・形を大きく変え、このような変容を総じて「metamorphosis」(メタモルフォーシス)と呼びます。展覧会名はこのメタモルフォーシスから付けられました。展覧会では東北芸術工科大学本館7階ギャラリーTHE TOP全面、同大学本館1Fエントランス南スペース、そして同大学本館1階ギャラリーTHE WALLを利用し、会期前期「第1部MetamorphosisⅠ」において東北芸術工科大学本館7階ギャラリーTHE TOP全面で壁面を利用した展示を行ない、会期後期「第2部MetamorphosisⅡ」では作品を同大学本館1Fエントランス南スペースに一斉に移動し、壁面の無い場所において自立型の作品を展示します。昆虫の適応戦略の背景となっている構造を絵画に置き換え、それぞれの作家が空間の機能に応じた展示方法を提示します。

 

展覧会前期(第1部)MetamorphosisⅠ「時間」

「メタモルフォーシス」を作品の形態の変化だけではなく、学生最後の作品から現在に至るまで年月を経ての作品の変化として見せます。主題や制作方法など、制作の変遷を作家背景の経年推移とともに伝えます。

 

展覧会後期(第2部)MetamorphosisⅡ「空間」

後期授業開始9/23(月)に合わせてエントランス南スペース+本館1階ギャラリーTHE WALLのある1階に移動。7Fの一部作品が変容したものを展示します。変容することの意味と外容・内容の展開について説明します。

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